December 17, 2007

冬の景色。


実家の玄関を開けた時、彼女は無意識に詰めた息をほっと吐いた。
此処は雪国、南国の人が想像する『雪=極寒』というのは間違いであると常々思っていた。

雪は温かいのだ。

特に雪が降り止んで風のない夜は特に思ったより寒くないのだ。
彼女はサクサクとすこし降り積もった雪を子供の様に踏み遊びながら少し離れた我が家へ帰ろうと歩を進めた。
澄んだ空気に混じるほのかに香る石油ストーブの匂い。
空を見上げると天然のプラネタリウムがキラキラと輝いている。
都会では星が見えないと思っていたがそんな事は無かった。
無かったが、やはり此処の星空には敵わない。
幼い事に家族で車を飛ばして観に行った迫ってくる様な感動的な星空にはあれからお目にかかっていない事に少し落胆を覚える。

ふと、まだ踏まれていない綺麗な雪を掴んでみる。
前言撤回。

やっぱり雪はしゃっこい。

でも温かい気持ちにさせてくれる。
それに、今日は背中も温かい。
母が帰り際に湯たんぽを彼女の背負っていたリュックに入れてくれたのだ。
ずしりと重いのでちょっと困ってみせたが母の気遣いを感じ、ほっこりと温かい気持ちになる。

彼女は家路に着くと、冷めぬ前に布団に入れようと早々にリュックから取り出して母から預かった湯たんぽを見て思った。

『こいつ、私の背中でお漏らししてやがった…』

そうなのです、母がふたをしてくれたのですが、閉め方が甘かったのか、入れる際に口から漏れたお湯を拭っていなかったのか、若干湯たんぽのカバーとリュックが濡れてしまいました…しょぼーん。
そのまま布団に入れる訳にもいかないかとちょっと放置していたら湯たんぽの方は自家放射熱で乾きましたヨ!
流石だね『ゆたぽん(今、命名したけどそんな名前付いてそうやな…)』★

以上、本日は私小説風にお送り致しました。(笑)


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