April 15, 2005

華幻草子 その3節。

早くもだれてきました…。(マテコラ)
えーっと今回から色々な設定紹介をしようかと思っていたのですが結構、行き当たりバッタリで書いているので適当に流して下さい。

■時代設定。
遊廓的な設定になっていますが『昔』では有りません。
それはそれファンタジーが為せる技、つまり別世界。
貴族が世界を治めていますが実際は商人の勢力が強いです。貴族はお飾り。
そんな中、『華遊び』は金持ちのステータス。
庶民憧れの『遊び』で『華遊び』は出来なくても『愛で』に行って少々お金が有れば御酌して貰う事で少しでも金持ちの気持ちを味わいに行くので華楼街はいつもにぎわっている。



「翡翠を気に入って下さったのは嬉しいですが、本日のお相手はこの胡蝶ですよ。その御手を離しては下さいませんか?」
私と翡翠を繋いでいた手をすいっと掬い離し、翡翠を守るように私との間に立って翡翠の指と自分の指を絡めながら優越感の様な顔で彼女は私に微笑んだ。
『胡蝶』は白い光沢のある衣装に濃い紫のアクセントを付け、低い位置でまとめられている艶やかな黒髪には薄ピンクの蘭を飾り、白い肌に映える赤い口紅が印象的で纏う雰囲気は女王たる威厳に満ちあふれている。
翡翠は私にしてみれば突然 邪魔するかのように現れた胡蝶にほっと気を緩めるが再び心配そうに顔を歪め、
「胡蝶姐さま、ソチラはもう宜しいのですか?」
「えぇ、長城様は今夜も泊っていって下さるそうだから2、3時間は待待ちますって。翡翠、私が戻るまで長城様のお話相手をして来てくれないかしら?」
『喜んで』と答えた翡翠は私に丁寧な挨拶をして退室してしまった。
「まぁ!大の大人が情けない顔であの子の事を目で追わないで下さいまし。」
…どうやら胡蝶はズバズバとモノを言う『華』らしい。
私は些か不貞腐れて今夜の相手は翡翠に頼めないかと頼むと胡蝶は困ったように顔を歪め『それは出来ない』とあっさり断られた。
「あの子は…有る意味、この店で一番高い子なのですよ。坊ちゃんのその願いは到底叶えられません、本日は胡蝶で我慢して下さいな。」
それなら、と胡蝶に根掘り葉掘り翡翠の事を聞くと
「本当に誰を買ったのか判らないお客さんだこと。」
と苦笑しながらも胡蝶は翡翠のことを少しだけ話してくれた。
『翡翠』の名は瞳の色からきていること、胡蝶付きの『華』で幼いころから此処に一緒に居て、胡蝶が手を放せない時は時間繋ぎにた翡翠がたまにお客の御酌をしたりしていること、風彩堂の菓子が好きなこと等々。
一頻り聞いて又来ると告げてその日は興奮の中、帰路に付いた。

それからというもの、私は事ある度に翡翠を想い、仕事の手を止めては物思いに耽って居たため、たまたま我が家を訪れた昔から良く知る友人の栄美也には『何か、おかしなものでも喰ったのか?』と心配され、原因を作った伯父には『あまりのめり込むな。』と少々たしなめられたがそっくりその言葉を伯父に返したいものだ。かく言う伯父も『芍薬』に会いに3日と空けずに華楼街へ通っていると噂に聞いた。
栄美也には翡翠の比類無い美しさを切々と一晩掛けて語ったところ、「他人に興味無さそうだったあの聖史郎がそんなに惚れ込むような子なら是非会ってみたいものだね。」
と感心半分、飽きれ半分の顔で言われた。
Posted by earth-leaf at 10:45 P | from category: Novels | TrackBacks
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